| 瞼板上端固定法 |
埋没法による二重まぶた手術は現在、最も普及している美容外科手術の一つです。埋没法の宿命的な欠点は元に戻る(二重のラインが消失する)可能性があることです。これに対処するため、埋没糸の掛け方、本数、糸の位置などの異なる術式がこれまで数多く報告されてきました。結膜側での糸の掛け方には、瞼板に通糸する「瞼板固定法」と眼瞼挙筋に通糸する「挙筋固定法」の2通りが従来から行われてきました。 瞼板固定法は、これを1か所で行う方法(1点法)がクイック法と宣伝され、一般的に広く普及しました。瞼板固定法の長所は、手術手技が単純、腫れが少ない、瞼板という支持組織を利用するので強く糸を結んでも常に同じような成果が得やすいことなどです。一方、欠点として、手術直後より、まぶたの裏側に糸が露出していることによる結膜側の眼科的問題が指摘されています。すなわち露出した糸は数日のうちに結膜下に埋まってしまいますが、しばしば糸が瞼板面に露出しっ放しになり、眼ヤニが出たり、目がゴロゴロするという異物感などの角膜刺激症状が発生することになります。この角膜刺激を和らげるため、この瞼板固定法を採用しているクリニックでは点眼薬や抗生物質の内服薬を術後一週間ほど必ず処方しているのです。また露出した糸による瞼板の異物肉芽腫、慢性炎症による充血、変形、線状瘢痕が生じ、これらも角膜に悪影響を及ぼします。そこで糸が瞼板面にかなり露出する手技を行っていた美容外科医も最近では露出する糸を少なくするようになりました。また術後数年や10数年してまぶたの裏側に糸が浮いてきたため糸の摘出を余儀なくされた人もいらっしゃいます。しかし、現在でも多くの美容外科クリニックで瞼板固定法による埋没法が行われており、糸が瞼板面に多少露出していても、これを問題視することが少ないようです。しかし、眼球にとって瞼板は生理的に重要な組織であり、瞼板はその本体に手術操作を及ぼしてはならないアンタッチャブルな部位と考えられ、他に適切な方法がないならやむを得ませんが、角膜を傷つけるおそれのある瞼板固定法はできれば避けたいと考えています。手術手技上も瞼板組織が軟骨様に硬いため通糸しにくいという欠点もあるのです。 一方、挙筋固定法はその長所として、糸の掛け方が二重まぶたの解剖学的状態に近似していること、結膜下に糸を埋入し、角膜に対する影響が少ないことがあります。欠点としては、動脈を損傷し眼瞼血腫を作り著しい腫れをきたしやすいこと、開瞼調節機能を担うミュラー筋への影響があり一時的眼瞼下垂をきたしやすいこと、瞼板のような支持組織がなく、きつすぎずゆるすぎずちょうどいい締め方で結紮することが難しく、常に良い結果を得にくいこと、強く結紮すると瞼板上縁が容易に陥凹変形すること、などが挙げられます。 私が開発し、日本美容外科学会で発表した「瞼板上端固定法」は、瞼板固定法と挙筋固定法との中間の位置にあり、両者の利点を有しています。すなわち、瞼板上縁から皮膚側に走行する挙筋腱膜の流れに埋没糸の掛け方が合致し解剖学的に自然であること、挙筋固定法に比較して瞼板という支持組織に固定でき戻りにくい二重まぶたにするための工夫と考えられること、瞼板固定法に比較して糸がまぶたの裏側に露出せず角膜障害の危険性が全くないこと、瞼板上端は瞼板本体に比べ柔らかい組織であり手術操作が容易で余分な力が要らないこと、手術後の出血や腫脹が少なく早期の社会復帰が可能であること、ミュラー筋の開瞼調節に対して影響がほとんどなく一時的眼瞼下垂をきたしにくいこと、などが挙げられます。この方法は目にやさしく一番安全な手術法なのです。 |
![]() ![]() 最近では、表3点台形縫合をすることで、1本の糸で幅広くループ状に固定でき、従来の2点法や3点法と同等の効果が得られるようになりました。また、見た目にも自然な美しい二重ラインになります。 手術後には特別なアフターケアはいりません。手術当日だけ、1〜2時間に5〜10分程度、眼部を冷却していただければ結構です。洗顔、化粧、コンタクトレンズ装用は翌日から可能です。腫れは手術の翌日と翌々日の朝までが最も強く、3日目ぐらいから引きはじめます。3〜5日目頃はかなり急激に引く時期で、1週間目では大体引きます。腫れると覚悟していて腫れないのは何の問題もないと思いますので、とりあえず手術後2〜3日間はかなり腫れると話しています。ひっぱられる感じは1週間ほどあり、ある日を境にしてこの感じは急に消失します。また、手術は無菌的に行なわれますので術後の抗生物質や点眼薬、痛み止めの処方は必要ありません。
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